公取委 「物流特殊指定」改定を検討、発荷主・元請・下請け3者間に適用の可能性
公取委と中小企業庁が10月7日に開催した第3回企業取引研究会で、直接の取引関係がない荷主(発荷主)と実運送事業者(下請け運送事業者)間の問題が解決できていない現状を改善するための話し合いが行われ、独禁法の物流特殊指定改定の可能性が出てきた。
運送事業者間の運送業務の委託は原則として下請法の対象とされており、一方で、荷主から運送事業者に対する運送業務の委託については、物流特殊指定(2004年施行)により対応することとし、約20年間運用されてきた。
だが、モノの流れがあっても直接の取引関係にない発荷主と下請け運送事業者間で、「長時間の荷積み、荷待ち」「契約にない付帯作業」などの問題を解決することは、現行の法制度では困難としている。
独禁法と下請法では、それぞれ、発荷主と元請け運送事業者間、元請けと下請けの運送事業者間を縛ることはできていたが、直接の取引関係にない発荷主と下請け運送事業者間を縛ることができない。そのため、発荷主が原因の荷待ち問題などで下請け事業者から申告があっても、公取委などは物流特殊指定や下請法が適用できなかった。
同研究会で公取委は「独禁法・下請法と事業法の有機的な連携」が可能かどうかに言及。価格転嫁(買いたたき)も例に挙げ、物流特殊指定など規制の効果が下請け事業者にまで及ぶような検討の必要が出ているとする。
物流特殊指定については、施行されてから現在まで、その役割が十分に生かされていないのも事実だ。物流特殊指定では、「代金の支払遅延(物流特殊指定第1項第1号)」「代金の減額(同2号)」「買いたたき(同3号)」「物の購入強制・役務の利用強制(同4号)」がある。
さらに、「割引困難な手形の交付(同5号)」「不当な経済上の利益の提供要請(同6号)」「不当な給付内容の変更及びやり直し(同7号)」「要求拒否に対する報復措置(同8号)」「情報提供に対する報復措置(第2項)」の、荷主に対する9つの禁止規定がある。
だが、物流特定指定の執行状況は、排除措置命令0件、警告2件、注意17件と、下請法の執行件数(勧告24件、指導482件)に比べて少なく、30年近く問題となっている「買いたたき」は物流特定指定ではいまだに改善されないままだ。
直接の取引関係にない発荷主と下請け運送事業者間を縛るための権限が公取委にないとしてきたが、今回の同研究会では、発荷主と元請け運送事業者間、元請けと下請けの運送事業者間に、発荷主と下請け運送事業者間を含めた3者合同で縛れるようにしていく可能性がある。
◎関連リンク→ 公正取引委員会
ご感想、情報提供など皆様からのコメントをお待ちしております!
お気軽にコメントしてください♪