道路工事による通行止めや迂回ルート、ゲリラ雨が多発するポイントなど、走行中のドライバーに最寄りの情報を伝える手段はいくつかあるが、道の駅や高速道路・サービスエリア(SA)のインフォメーションに置かれたチラシ類も、周辺の事情を知る情報源の一つだ。その土地に詳しくない遠方のドライバーだけでなく、走り慣れた道に意外な危険が潜むこともある。域内のトラック協会に配布されるものもあるが、出先で見つけたチラシをドライバーが持ち帰ることで、その先の安全運行に生かす貴重な資料となるのは確かだ。

 

追突に注意

 

瀬戸中央自動車道の水島インターチェンジ(IC)が5月13日からETC専用となった。政府は先に、交通集中による渋滞を緩和するために高速料金を時間帯などで変化させる「ロードプライシング」を全国で本格導入する方針を明らかにしたが、そうした割引に対応するには料金所がETC搭載の車両専用であることが理想。首都圏など都市部で2025年度をめどに、地方でも30年度ごろには専用化を実現したい考えだ。

 

本四高速の管内には、当初からETC専用として建設されたスマートICが2か所(淡路北、淡路中央=いずれも神戸淡路鳴門自動車道)にあるが、リニューアルの格好で既存の料金所をETC専用化するのは「23年4月3日に運用を開始した同自動車道の東浦IC(兵庫県淡路市)があり、それに次ぐ2例目」と本四高速・広報CS課の担当者。「専用化に向けた国のロードマップに従って進めている」と説明する。

 

一方、この先の変更場所や時期などについては「具体的にどう進めるかは調整中」としており、水島以降に決定しているICは「いまのところ聞いていない」と担当者。道路6社の管理路線を走る車両のうち、ETCを利用するのは1日に約833万台(23年3月時点)で利用率は94.3%。この数字だけを見れば専用化の影響は限定的とも取れるが、間違って流出しようとした前方の未搭載車が急ブレーキを踏む可能性も踏まえれば、そうした事故リスクに注意が必要なことに変わりはない。

 

突風が襲う

 

「南側に大山という大きな山があり、南風が吹くときに起きる事象を、この地域では気象台も含めて“大山おろし”と呼んでいる」と国交省中国地方整備局・倉吉河川国道事務所の担当者(道路管理課)。春先にチラシなどを用意して毎年、強烈な横風が吹く山陰道・大栄東伯IC(鳥取県東伯郡琴浦町)~米子西IC(同県米子市)間の41.7kmを走るドライバーに注意を呼び掛けてきた。

 

同区間では12年4月に大山ICと大栄東伯IC付近で6台、16年にも琴浦東ICの周辺でトラック1台が横転する事故が発生している。「冬の北風で自動車がひっくり返ったというケースはないが、春に吹く南風は突風的なものが多い」(同)と説明。吹き抜けになった地形など、特に風が強まるポイントには注意喚起の大型看板とともに吹き流しを立てており、SAなどに置くチラシには「水平になれば風速は10m以上」と、吹き流しの様子で風の強さを判断する基準なども掲載している。

 

チラシは西日本全域の道の駅やSAなどのほか、各府県のトラック協会にも直接届けているという。「山陰道は無料の区間が多いこともあって、中国道や山陽道を避ける格好で九州から近畿や、関東方面に向けて走る物流関係のトラックなどもある」(同)と、広範囲の啓発活動を続けてきた事情を説明する。ちなみに同区間に立てられた看板は10基で、吹き流しは14基。「特に注意が必要な地点と思ってほしい」としている。