この4月にサンワNETS(静岡県袋井市)で行われた新たな役員人事を受けて、新会長と新社長にそれぞれ就任した水谷欣志氏と山崎隆太氏。働き方改革や社会情勢の変化を経て大きな過渡期を迎えている物流業界において、50年以上の歴史を刻む同社もまた新時代へ向けた新たな一歩を踏み出した。

新社長となった山崎氏が就任早々に行ったのが、40か所ほどにのぼるグループ内事業所の訪問で、「まずは顔と名前を覚えてもらう」との考えのもとコロナ禍で自粛ムードだった顔を突き合わせての人同士の交流をあらためて促進。かつて金融機関に勤めていた時代はキャリアの大半を営業活動に費やしてその後も研修や教育業務に従事していた山﨑氏らしく、「人間」を重視した新社長としてその姿勢を印象付ける行動となった。

一方、新たに会長へと就任した水谷氏はリーマンや震災にコロナ禍といった荒波に揉まれながらの舵取りだった自身の社長時代を振り返って「外的要因や法規制の強化など自社の力だけではどうしようもできない状況下で数字を強く意識してきた」としてその時間を回想。同社の成長とともに歩んできた社長としての年月を振り返り、万感の思いでバトンを託したその心情をのぞかせた。

そんな水谷氏に対し、山﨑氏は「数字にはこだわりながらも個人的な攻撃はせず、自分には厳しいという印象。退職金制度の充実や太陽光発電の導入など社内的な環境整備をすすめてきた方でもあるので、社員らは『優しい人』という印象を持っているのではないかと感じている」と発言。

それを受けた水谷氏は山﨑新社長へ期待するところを聞かれると「人同士のつながりやコミュニケーション、従業員へ対する思いといった部分」と語り、そこからは互いが尊敬し合う良好な関係性が伝わってきた。

新体制での運営について山﨑氏は「安全やコンプライアンスに生真面目な社風など大切なものは守りながら、『一緒にやろうぜ』の精神で一体感を高め活性化をすすめて自発性を引き出せるような流れをつくっていきたい」と熱意を語り、今後については「従業員や地域の人に愛され、自分たちの子どもに働いてもらいたいと思ってもらえるような企業を目指したい」とコメント。 水谷氏は「まずは人をしっかりと確保して育てていくということが重要で、人の流れが止まらないようにしたい。女性にも活躍の場をより多く提供していきたいと考えている」と語り、取材の最後には二人による固い握手が笑顔で交わされた。

 

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