久世 現場の“今”を把握し輸送精度をアップ 都築電気の動態管理システム導入
業務用食材卸売業の久世(久世真也社長、東京都豊島区)は、2024年3月期売上高644億7400万円を計上、昨年比14.2%増としている。コロナ氷河期を乗り越えた今、海外からの観光客に沸く外食産業の経営を陰で支えるのが久世の配送網である。
取扱商品は調味料、乾物、冷凍・冷蔵食品から洗剤といった消耗品等のノーフード品まで幅広く取り揃え、「久世1社ですべての商品が揃う」ことを目指している。国内にある直轄の物流拠点は6拠点。今回は約3500点のアイテムを扱う千葉センター(千葉市若葉区)の取り組みを聞いた。
取り扱う商品は3温度帯に加え、−40度の超冷凍。カスタマーセンターで受けた客先からのオーダーは各エリアに振り分け、原則として取り寄せ品やリードタイムを必要とする商品以外はすべて翌日、客先に届けている。千葉センターでは「お客様から今日の配送は何時に着くのかとか、今日届くはずの商品が届いていない等の問合せの際、以前はドライバーが現地に到着してから対応することが多く、ドライバーから倉庫の事務所に連絡し営業担当者に連絡を繋げていく方式だったので、お客様への返答が遅れてしまう状況にあった。しかし都築電気の動態管理システム『TCloud for SCM』を導入したところ、トラック各車の現在位置が管理部の大画面一つに集約して確認でき、到着時間予測機能によって、リアルタイムで到着時間がすぐにわかるため、営業担当者も社内にトラックの位置の問い合わせをしなくても、お客様に即答ができるようになった。そしてどこかの現場で助けが必要になった時でも、各トラックの位置をみて、誰がサポートに行くかを的確に指示ができるようになった」という。
「可視化することで、イレギュラーが起こった時も対応がスムーズになり、管理者が全体を俯瞰でみて指示を出せるので連携力が向上した」。また、ドライバーが従来、管理・記録していた配送日報や庫内温度に関しても「自動的に帳票作成してくれるので、ドライバーも事務方も作業が軽減した。ドライバーたちの労働時間を少しずつでも短縮し、ストレスも抑えていきたい」と説明する。特にオプションでトラックの庫内に取り付けた温度センサーは自動で詳細な記録が残るため「万一、何か不具合が起きた場合でも、いつからそうなったのかというような原因解明にも役立つ。さらに、他センターとの境界を有する中間エリアなどでは、配送先のデータを分析することで、より効率的な配送計画が組めるようになるのではないか」と期待している。
久世の千葉センターでは「我々は商品を運ぶ仕事をしているが『運送会社』ではない。あくまでも卸業の業務の一環として商品をお客様に届けるという仕事。守るべきことを遵守しながら、お客様により良く高品質の輸送で商品をお届けすることを重視していく。到着時間だけでなく、管理部門も含めてお客様に対するレスポンスの向上、無理・ムラ・無駄な時間や作業を削減できるようになったのは『TCloud for SCM』導入のおかげ。以前よりスムーズに効率的に、サービスアップした配送ができるようになった。今後もっと配送効率を上げるために、配送時間のバラツキをなくし、ドライバーの労働時間を平均化することは運送会社でなくても重要な課題。ドライバーの休憩時間等も自己申告だけでの管理は難しいが、自動的に記録として残すことで解決し、ドライバーの労働環境と品質管理も向上していきたい」と語る。
取材先:株式会社久世
製品・サービス: TCloud for SCM
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