九州トラック交通共済協同組合(福岡市博多区)は4月26日から10日までの8日間、運送事業主・運行管理者向けの事故防止セミナーを開催。「事故予防コミュニケーションを考える」をテーマに、安全会議(同)の森川美希社長が講演を行った。

同組合安全推進部の田中博志部長は、「事故は平成29年をピークに、近年は減少傾向にあった。コロナ禍でさらに減少したが、昨年はその反動もあってか過去10年で最も多い1年になってしまった」と肩を落とす。

また、「普段の講習会などで、『点呼時の指示をドライバーに伝えきれていない』などコミュニケーション不足に悩む声が受講者からよく聞かれていた。そこで今回、森川社長の協力を得てセミナーが実現した」という。

セミナーでは、森川社長が登壇し、コミュニケーションによる事故予防のポイントを解説。「管理者は『こうしてほしい』と伝えたつもりで、ドライバーも『分かりました』と言っていても、『反論してもどうせ分かってもらえない』『迷惑をかけたくない』『できないと思われたくない』といった理由から、実際には行動に移していないこともしばしば」とし、「管理者は普段から、ドライバーの様子や体調を気にかける必要がある」と指摘した。

また、「社内掲示やLINEメッセージで啓発するだけにとどまらず、話し合う機会を会社側が作るべき」とも。「管理者は指導する場合も、『今日はどうだった?』などと穏やかな表情で自分の言葉で話しかけ、相手の話を『聴く』ことが大切。『聴く』という字には『耳』と『目』と『心』が入っている。すなわち、全身を傾けて相手の話を聴くことが重要」と呼びかける。

「今日の事故は誰かの事故の再発」と語る森川社長。「安全のための動作を伝えても、何のための動作なのか理解していなければ意味がないうえに継続できない。できないことを1つずつ潰していくよりも、うまくいっていることを少しずつ増やそうとするスタンスで安全運転につなげてほしい」と述べた。

同組合のカバーエリアは九州北部4県(福岡・佐賀・長崎・大分)で、セミナーは、福岡・佐賀・大分の3県で実施した。田中部長は、「今回、合計で約100社140人の参加申し込みをいただいた」とし、次年度以降の開催にも意欲的だ。

 

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