リクルートでは現在、市場参入を目指す求荷求車サービス「ロジシフト」の実証実験を行っている。このロジシフトは、同社の新事業提案制度として、同社プロダクト統括本部新規事業開発室インキュベーション部の平井凌太郎氏(写真左)によって発案され、現在は同じ部署の大塚悠貴氏(同右)と開発を手掛ける。業界における求荷求車サービスはこれまで、すでに様々な形で展開されており、同社はいわば後発だ。なぜいま、同サービスの市場参入を目指すのか。改めて同社がロジシフトとして参入を目指す理由などを聞いた。

サービスの実現に向けてはまず、「運送会社に価値を提供していきたい。業務がより便利になり、商いがうまくいくというところに重きを置いていきたい」と平井氏は話す。

ロジシフトは配車管理システムを運送事業者に提供し、その情報をもとに、空車と荷主の求車をマッチングする。この配車管理システムを提供することで、運送事業者からトラックの空き情報を集める。これらはクラウド上で行われ、専用の機器などを必要としない。将来的には、デジタコとの連携や日報作成、労務管理など、幅広い用途に使用できるようにする。

 

平井氏は、求荷求車サービスを2018年に着想したとき、運送会社の2つの課題、「人手不足」「赤字経営」を認識していた。2017年頃からネット通販の台頭で、業界では物流クライシスという言葉が用いられるようになるなど、人手不足などの問題が社会問題化していた。

もともと平井氏は物流業界出身ではなかったが、運送・物流業に対して、独特の商習慣があることは感じていたという。

 

しかし、物流業を調べていくと「運送のマッチングはDX化により効率化できる余地がある」と感じた。そして、そこで生かせるリクルートの強みを2つあげる。

1つ目は、創業以来、求人や不動産、自動車、結婚式やホテルなど様々なマッチングメディアを開発してきた強み。

2つ目は、ITやDXのノウハウだ。2000年以降はITテクノロジーに会社の力点をシフトしてきた。同社では、現在は中小企業の多い飲食業で使用されるAirPAYというモバイル決済サービスを開発している。

「2つの強みは運送という業界にぴったりと当てはまるのではないか。我々の強みが生かせると思う」と自信をのぞかせる。

現在、物流は人手不足に加え、給料が産業全体の平均よりも低いなど、構造的な難しさがあると指摘する平井氏。新たな求荷求車サービス「ロジシフト」を活用することを踏まえ、「DXやマッチングで、業界における構造的な解決を行っていきたい」と話す。

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