普通免許、準中型免許の年齢要件を現行の18歳から17歳6か月に早める道交法の改正案が今国会で審議されている。成立すれば早生まれの高校3年生も4月からの就職、進学に備え、余裕を持って免許が取りやすくなる。一方、7年前に新設された準中型免許は、運送業や建設業に関わらない一般家庭では認知がまだ進んでいない。高校卒業時に取れる免許は普通と準中型を選択できること、準中型は将来の職業選択に役立つ可能性があることを誰に周知すれば良いか、要件の緩和が検討されている今、考えたい。

 

2017年3月に若者もトラックドライバーに従事しやすいようにと新設された準中型免許。全車種の運転免許や作業資格の教習を実施するテクノ自動車学校(竹内勝博社長、広島県安芸郡)で同免許の取得状況を聞くと、「2021年からの3年間で177人が取得。全免許取得者の5%に当たる」という。

なお年齢層は10代、20代が80%を占め、就業状況では建設・設備工事業が43%、運送業は8%だった。

 

竹内社長は「2、3月は教習のピーク。当校は普通免許の7割がAT限定で、MT車しかない準中型は繁忙期に教習、検定ができないことがある」と話す。

これはドライバーのなり手を増やす障壁になりうる話であり、今回の道交法改正へ期待が高まる。なお、改正案が国会で成立すれば、公布から2年以内に施行される予定。高校卒業時に取れる免許は、準中型と普通から選べることを家庭や学校に知ってもらうことも重要だ。

 

■高校の指導は?

 

広島県の高校生が自動車教習所に通うには、学校の許可が必要になる。工業系など専門学科主体の高校5校に聞くと、教習所は進路が決定していることが前提で、2学期後半から通うことを許可している。中には単位取得が完了した2月初旬以降という学校もあった。

 

また、進路指導の教諭が普通と準中型を選べることは知っているが、学校側がそれをあえて紹介することはないという。将来の職業選択に役立つという考えより、「仕事で2トン車の運転があるなど、就職先の要請があれば準中型について説明する」(県南部の工業高校)と現実的だ。

 

いずれの学校も、生徒の安全が最重要であり、免許取得を推奨していないそうだ。免許を取らせない、車を買わない、乗らないの「3ない運動」の考えがベースにあり、免許取得は生徒側に判断を任せるスタンスだった。