普及が加速する「リトレッドタイヤ」ブリヂストンタイヤソリューションジャパン
ブリヂストンが展開するリトレッドタイヤ事業が伸びている。大手物流会社は環境対策、中小運送事業者ではコスト削減を目的に導入が増えているという。
ブリヂストンタイヤソリューションジャパン(東京都小平市)のリトレッド事業企画部で部長を務める輕部隆章氏は、「業界最大手クラスでも導入が始まり、普及が加速している」と語る。 「リトレッド」とは、摩耗したタイヤのゴム部分を貼り替えて再利用すること。タイヤの再利用により、トータルコストの低減やタイヤ資源の節約に加え、CO2排出量の削減といった環境効果も期待できる。 欧米では既にトラック・バス用タイヤの約50%がリトレッドだが、日本ではまだ約20%にとどまる。しかし、ブリヂストンユーザーに限れば、その比率は25%を超えているという。
「トータルで見ると、トラック・バス用タイヤの4本に1本はリトレッドであるという事は、車両単位では10台に6台はリトレッドを使用しているという計算になる。10輪車では1、2軸目は新品タイヤを履き、後ろの4本をリトレッドにされるケースが多い」。
「台タイヤ」、すなわちタイヤの骨格部分をリユースすることで、新品タイヤに比べて原材料の使用量が3分の1以下に抑えられる。「新品タイヤ3本」と「新品低燃費タイヤ1本+リトレッドタイヤ2回」で比較した場合、製造段階での使用原材料とCO2排出量はいずれも約半分に減らすことができるという。
タイヤメーカー各社がリトレッドを扱っているが、同社には、1960年代から提供してきた実績と技術が積み重ねられており、「運用ノウハウや、厳しい品質管理には自信がある。新品タイヤの設計時にリトレッドとしての耐久性も考慮しており、『頑丈な構造』も特徴」だという。
全国13か所で生産
ブリヂストンでは、リトレッドタイヤの生産拠点を全国に13か所展開。菊地伸治リトレッド事業本部長は、「台タイヤを回収するのに長距離を走らなくて済むよう、需要地区に合わせて拠点展開している。これにより、全国津々浦々、タイムリーで環境負荷が小さい供給が可能」と胸を張る。
かつて、リトレッドタイヤはトレーラシャシーやダンプへの装着が中心だったが、ここ数年で、カーゴ車両と呼ばれる一般トラックへの装着が増えているという。「大手やその傘下企業では環境への意識から、中小ではコストメリットを求めて導入されるケースが多い」とし、「タイヤという部品を変えるだけでコスト削減と環境対応が叶う点で運送経営者の受け止めは想定以上に大きく、当社の低燃費タイヤ『エコピア』と合わせた導入を勧めている」。
TPP導入も増加
また、メンテナンスやタイヤローテーションなどの管理を一括して同社に委託できる「トータルパッケージプラン(TPP)」の導入企業が増加していることについて同本部長は、「TPPにより運送事業者はタイヤ関連業務をアウトソーシングすることで業務効率化が図れる。
例えば、リトレッドの運用もプロであるブリヂストンに任せれば安心且つ効率的に導入できる。TPPで商品やサービスの価値を最大化できる点もメリットの一つと評価いただいている」と説明。管理を担うブリヂストン側でリトレッドの最適なタイミングを把握しているため、効果的なタイヤローテーションが実現するという。
同部の新津博也氏は、「歴史的にリトレッドの使用が盛んだった北海道や九州地区に加え、最近では本州での利用が急激に増えている」と説明。「理由は長距離便での使用増で、大手での導入が進んだことで幹線輸送での装着も増えている」からだという。
輕部部長は、「最近は地場配送でもドライバー不足への対応から、小型2台で運んでいた荷物を4軸の大きな車両1台で運ぶケースが増えており、そうした車両でのリトレッドタイヤ採用が進んでいる。当社も幅広い車両にも合うよう、タイヤラインアップを充実させている」と付け加える。 環境負荷軽減とコスト削減、2つの側面でメリットをもたらすリトレッドタイヤ。菊地本部長は「運行3費のうち、燃料費を減らすのは容易ではないが、『タイヤを変えるだけでこんなにもコストを減らせ、環境負荷を低減できる』ことを実感いただきたい。ぜひ興味を持っていただければ」とアピールする。
◎関連リンク→ ブリヂストンタイヤソリューションジャパン株式会社
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