日本は、人口や国土面積に対しての自動販売機設置率が世界1位の自販機大国。日本自動販売システム機械工業会が発表している自動販売機の普及台数によれば、中でも飲料用が群を抜いていてシェア率は約8割だ。そんな自動販売機のメンテナンスや設置に関わる物流で大きな動きが生まれている。

ジェンパクト(深田アレン社長、東京都千代田区)は8月にコカ・コーラボトラーズジャパンと、日本におけるコカ・コーラシステムのパートナーとして飲料事業の物流や販売機器の設置、修理などの業務に携わってきたシンクランと、事業における協働に合意している。

ジェンパクトは元々、バックオフィス向けのビジネスアウトソーシング企業として大手企業などから依頼を受けてきたグローバル企業だ。業務の中にはサプライチェーンに関するものも含まれており、3年以上、コカ・コーラボトラーズジャパングループの機材サービス業務においてDXの取り組み支援を続けてきたという。

取り組みの1つとしてあげられるのが、物流業務のうち、配車効率の向上だ。

自動販売機のメンテナンス、設置に関わる物流において、従来のアナログ的な手法では、回収した機体に必要なメンテナンス情報などが一元化されておらず、必要のないメンテナンス施設への配送など、ムダな物流業務を生み出していたという。それらのボトルネックに対しジェンパクトの提案で在庫情報をデジタル化し統計的需要予測や、計画支援ツールの導入でまず、スペアパーツなどの在庫を約15%削減している。

さらに、配送計画や作業指示などのデジタル管理も推進されており、今後の配送における業務量の改善率は10~20%程度を見込んでいるという。今後も配送ルートや、配送オーダースケジュールのルール見直しに取り組んでいくという。これらの取り組みは3年間、ジェンパクトがコカ・コーラボトラーズジャパンの業務に関するビッグデータを蓄積してきた背景がある。

深田社長は「当社の提供するスマートコマンドセンターは、バックオフィス業務を受託しながらも、企業全体のデータ分析などを通してプロジェクトの生産量などを可視化し、お客様が成長するために必要な提案を可能としている」としている。
同社は今後、協業型ビジネスの1つとして、スマートコマンドセンターの分析と提案による物流改善を他社にも展開していくという。最も可能性の高い業界は自動販売機のメンテナンス、設置などと同タイプのアフターサービスマーケットだ。

深田社長は「社会課題として、労働力不足と、温室効果ガス排出削減は多くの企業から注目されるものと確信している」とし、「物流をコストセンターとしてではなく、生産性が高く、社会課題の解決に貢献するサービスとするために当社の持つノウハウが貢献できれば」としている。

◎関連リンク→ ジェンパクト株式会社