「月額固定のSaaS時代が終わる」—AIエージェントが業務自動化を加速させる今、この危機感がテクノロジー業界に広がっている。11月12日のZuoraイベントでは、スタートアップ各社がAI時代の新たな収益モデルについて熱く議論した。

 

「契約は年間300万円から。面接1回あたり3000円、使い切ったら5000円に」と語るのはPeopleXのCEO。わずか18ヶ月で50回も料金体系を見直してきた背景には、日本企業特有の予算管理文化がある。「毎月変動する費用は購買部門が扱いづらい」という現実を踏まえ、前払いチケット制を導入したのだ。

 

この戦略には巧みな心理設計が隠されている。超過料金を割高に設定することで「最初から多めに購入してもらう営業トークがしやすくなる」という。価格設定の基準は「人間コストの半額程度」。従来の外部委託が1面接約1万円かかるところ、その半額なら導入メリットが明確だからだ。

 

しかし、グローバル展開で新たな疑問が生まれる。時給水準の低い国々では同じ価格設定が通用するのか？ Zuora創業者は「B2B領域では国ごとの価格差は問題ない」と回答しつつも、多国籍企業相手の場合は一貫性も重要だと指摘した。

 

あなたのビジネスは従量課金に適しているだろうか？ 日本の商習慣と先進技術のバランスをどう取るべきか？ SaaSビジネスの未来を考える上で、こうした先駆者たちの挑戦から学べることは多い。AI時代の収益化には、テクノロジーだけでなく、顧客心理と商慣習の深い理解が求められているのだ。

 

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