高知城歴史博物館では、江戸期に土佐の地域発展に尽力した偉人・野中兼山に焦点を当てた特別展示が7日まで催されています。「時代を見据え、変革に挑む」というテーマのもと、約90点もの貴重な史料が集められました。

 

1615年に生を受け、1663年にその生涯を閉じた兼山は、わずか17歳で藩の奉行に就任。およそ30年にわたり、その手腕を振るいました。あなたが今、高知を訪れる際に目にする水路網の多くは、彼の構想によるものです。これらは単なる治水だけでなく、物資輸送の大動脈として機能し、香南市の手結港や室戸市の津呂港といった拠点を生み出しました。

 

展示の見どころは何でしょうか？宿毛市の沖ノ島をめぐる領土紛争の際に作られた精密な木製模型は必見です。また、権勢を誇った時代の力強い花押からは、彼の人間性が垣間見えるかもしれません。さらに、江戸での人脈形成を示す幕府役人からの書状も展示されており、当時の社会関係の複雑さを感じられます。

 

しかし、彼の改革は光と影を持ち合わせていました。斬新な発想で域外の知恵を取り入れる一方、民衆への過重な労役や専売制度の導入は批判を招き、最終的には失脚へと至ります。「国の繁栄を願うあまり、強引な手法も辞さなかった」と博物館副館長は評しています。

 

入場料は一般800円ですが、高校生以下は無料で観覧できます。あなたも江戸時代の土佐を変えようとした男の軌跡に触れてみませんか？

 

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