かつてライバル関係にあった企業が手を組む新たな潮流がファッション業界に広がっています。アンドエスティホールディングス（旧アダストリア）が運営するオンラインショッピングモール「アンドエスティ」が、業界の壁を超えた協業プラットフォームへと進化しています。

 

「単独での利益追求は過去のものとなりました。これからは協力して市場を育てる時代です」。こう語る木村治社長のビジョンのもと、同社は2030年度に流通総額1000億円という野心的な目標を掲げています。このプラットフォームには9月24日からニューバランス、そして10月にはユナイテッドアローズやICL、ジュンといった企業のブランドが次々と参入を決めました。

 

注目すべきは、なぜ競合企業がこぞって参加するのかという点です。約2070万人という圧倒的な会員基盤、特に20代の若年層へのアクセスに各社は大きな魅力を感じているようです。「私たちがリーチできていない若い顧客層とつながる貴重な機会です」とユナイテッドアローズの岩井一紘OMO本部長は期待を寄せています。

 

業界協業の動きはECだけにとどまりません。昨年10月に発足した「アパレル物流研究会」では、かつてのライバル企業同士が物流インフラを共有する試みも始まっています。これは創業世代では考えられなかった革新的な発想ではないでしょうか。

 

あなたが今後オンラインでショッピングを楽しむとき、一つのプラットフォームで多様なブランドに出会えるようになるかもしれません。このように、業界の垣根を越えた協力関係が、新たな買い物体験を生み出そうとしています。「競合他社と組むことで、単独では創り出せない世界観や体験価値を提供したい」という木村社長の言葉に、ファッション業界の未来図が見えてきます。

 

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