旅の終わりを告げる駅は、新たな冒険の入り口でもあります。あなたは列車が行き止まる場所から広がる物語を想像したことがありますか？岐阜県大垣市の美濃赤坂駅では、そんな珍しい体験ができるんです。

 

東海道本線から枝分かれするわずか5キロの支線の先に位置するこの駅。大正8年に石灰石運搬のため誕生し、現在は東海道線で唯一の行き止まり駅として静かに佇んでいます。駅舎を見渡すと、貨物用のスペースが大半を占め、乗客用ホームはたった一本だけ。かつては東京から直通列車が乗り入れていた名残を感じさせます。

 

駅を降りてすぐの場所には、江戸時代に中山道の宿場町として栄えた街並みが広がっています。大名や和宮が宿泊した本陣跡は今や公園に。町家風の銀行や、つい最近まで旅館だった脇本陣など、ゆったりとした時の流れを肌で感じられるスポットが点在しています。

 

でも、この町の最大の見どころは何といっても「走る列車」。JRの終点でありながら、別の鉄道会社である西濃鉄道の路線が北へと延びているのです。一日わずか3往復、石灰石を満載した20両編成の貨物列車が金生山から美濃赤坂へとゆっくり走る姿は圧巻です。

 

中でも鉄道ファンを魅了するのは、石引神社の境内を横切る踏切。赤い鳥居のすぐそばを巨大な貨物列車が通過する様子は、全国でも珍しい光景です。警報機も遮断機もない「とまれみよ」の標識だけの踏切は、まるで神様からのメッセージのよう。あなたも一度、この不思議な交差点で時間の流れに身を委ねてみませんか？

 

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