「日本初」の足跡が点在する東京・上野エリア。この地を訪れると、近代日本の黎明期に触れる体験ができることをご存知でしょうか。兵庫県出身のアーティスト・井上涼氏とともに、この歴史的スポットの魅力を探ってみましょう。

 

現在はジャイアントパンダの双子「シャオシャオ」と「レイレイ」で賑わう上野ですが、この地の重要性は縄文時代にまで遡ります。不忍池は古代の海岸線の名残とされ、地形的優位性から江戸期に重視されました。『上野がすごい 日本の未来を創る街』の著者・柳瀬博一氏によれば、武蔵野台地の東端に位置するこの場所は、かつて水運の要所として栄えたのです。

 

江戸時代には徳川家康の参謀・天海和尚の進言により寛永寺が建立され、幕府の守護寺として機能しました。しかし明治維新の動乱で焼失した寺域は、新政府により再利用が検討されます。西洋の都市計画に触れた大久保利通らの発案で、明治9年(1876年)に日本初の西洋式都市公園として生まれ変わったのです。

 

文化発信拠点としての性格も強い上野。明治15年(1882年)には現東京国立博物館の前身と上野動物園が開設され、明治20年(1887年)には東京藝術大学の源流となる機関が創設されました。大正13年(1924年)に「上野恩賜公園」と命名されたこの空間は、宗教施設から文化・教育の中心地へと変貌を遂げたのです。

 

あなたも一度、この歴史の交差点を訪れてみませんか？入園料600円(65歳以上は300円)で、日本の近代化の足跡をたどる旅に出られます。月曜休園、開園時間は9時30分から17時までです。東京の「始まりの地」で、私たちの国の変遷を肌で感じてみてください。

 

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