「アベノミクスの成果を地方にも広げる」と18日夜の会見で安倍首相が衆院解散の背景を語った。同時に「円安による燃料費高騰対策」にも言及し、経済政策への信任を問う姿勢を示した。

 

為替市場では急速な円安進行が続き、輸出企業にとって追い風となっている。その象徴がトヨタ自動車だ。2014年9月期中間決算では1兆1200億円を超える史上最高の利益を計上。年度末までには日本企業として初めて純利益2兆円の大台到達が見込まれている。

 

しかし、この好況感は全ての企業に行き渡っているだろうか？愛知県内の工業地帯で働く人々の声は違う現実を映し出している。

 

「大企業の儲けは私たちには届きません」とトヨタ系二次下請工場の若い管理者は語る。車体フレーム部品を生産するこの工場では、リーマンショック後に比べれば回復したものの、ピーク時より2割も生産量が減少。一部部品では半減しているという。

 

さらに困難なのは、原材料価格の上昇や光熱費の増加だ。「賃上げどころか、節電に努めるのが精一杯」と苦笑する現場の声からは、大企業の好業績と下請企業の厳しい状況という二極化が浮かび上がる。

 

「利益還元の兆しすら見えない」「環境は改善していない」――これが複数の下請工場から聞かれる本音だ。円安の恩恵は産業ピラミッドの頂点にとどまり、その裾野には行き渡っていない現状が、地域経済の実情を物語っている。

 

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