近年、輸送業界では深刻な人材不足が顕在化していますが、あなたは「配送先での待機時間」という問題を耳にしたことはありませんか？これは運輸セクターで長年放置されてきた課題です。なぜ解決が進まなかったのでしょうか。それは商品発送元・受取先企業の立場が強く、また運送会社間の激しい競争によって、不利な条件でも仕事を引き受けざるを得ない状況があったためです。

 

しかし状況に変化が訪れています。2025年4月に「物資の流通の効率化に関する法律」が改正・施行されました。この新制度では、商品の出荷者や受取企業と配送業者の双方に効率化への取り組みが求められ、一定規模以上の事業者には計画作成や物流管理者の配置が義務付けられています。さらに行政機関は基準に基づいて指導や調査を行い、必要に応じて是正を促す権限も持つようになりました。

 

この法改正で注目すべきは「待機時間」の明確な定義付けです。具体的には、配車順番待ち、荷物準備の遅れ、作業スペースの混雑、時間調整のための意図的な停車など、すべて労働時間としてカウントされます。あなたも輸送関連の仕事をしているなら、年間3300時間、月284時間という拘束時間の制限内に、これらの待機時間も含まれることを認識する必要があるでしょう。

 

現場では予期せぬ事態も発生します。そのため労使間の合意があれば、年6ヶ月に限り月310時間まで延長できる例外規定も設けられていますが、これを超過すれば法令違反となり監督機関からの指導対象となります。この問題の解決には業界全体の意識改革が不可欠です。あなたの職場でも、効率的な荷役システムの導入や予約制の徹底など、具体的な取り組みを始めてみてはいかがでしょうか？

 

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