2023年4月から実施された貨物自動車運送事業法の改正は、全国の6万社を超えるトラック業界に影響を与えています。しかし、元ドライバーの専門家によると、この法改正は早くも効果に疑問符がついているようです。

 

「高速道路を走ると赤字になる」—こんな声を聞いたことはありませんか？これが運送業界の実態です。この背景には物流の重層的な委託構造が横たわっています。1990年に業界規制が緩和され、運送会社は4万社から6万3000社へと急増しました。さらにバブル崩壊で荷物量が減少し、生き残りをかけた競争が激化したのです。

 

あなたが注文した商品を運ぶドライバーは、どんな労働を強いられているかご存知ですか？炎天下で数千個の荷物を手作業で積み下ろしたり、30kgもある米俵を800袋も人力で運んだりすることがあります。さらには、ラベル貼りや商品陳列まで、無償で行わされるケースも少なくありません。

 

この厳しい環境の根本には、幾重にも連なる発注構造があります。業界では「上から受けた仕事は1割引いて下に流す」という不文律が存在します。元請けから始まり、二次、三次と連なるごとに運賃が削られ、最終的に荷物を実際に運ぶ業者には、コストすら賄えない金額しか残らないこともあるのです。

 

国土交通省はこの問題を解消するために法改正に踏み切りましたが、現場からは「実効性がない」という失望の声が聞こえてきます。あなたの生活を支える物流の危機は、単なる業界問題ではなく、私たちの日常に直結する課題なのです。

 

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