「世間では全ての仕事に優劣はないと言われますが、現実には明らかな格差が存在します」。こう語るのは40代の物流業界で働く運転手です。あなたが深夜に眠りにつく頃、彼らは道路を走り続けています。

 

朝起きると新鮮な野菜や果物がスーパーの棚に並び、オンラインで注文した商品があっという間に届く便利さ。この日常を支えているのは、私たちの目に見えない場所で働く人々です。特にコロナ禍以降「必須労働者」として認識されるようになった彼らですが、その日常業務の実態はほとんど知られていません。

 

ある神奈川県の物流会社に勤務する40歳の運転手に一晩密着してみると、便利さの裏側に隠された厳しい現実が浮かび上がりました。通常は地域配送を担当するこの運転手が、この日は相模原から仙台までの約460キロを往復する長距離輸送を担当。法律で定められた16時間以内という拘束時間の中で、すべてをこなさなければなりません。

 

「運転するだけ」と思われがちなこの仕事。実際には数千個もの荷物の積み下ろしから、予定外の梱包作業、時には商品整理まで求められることもあります。本来は追加料金が発生する作業も、現場では「無償サービス」として処理されることが少なくありません。予定より大幅に出発が遅れても、到着時間の変更は許されないのです。

 

4時間運転したら30分休憩する「430ルール」は、本来は運転手を守るための規則。しかし、高速道路のパーキングエリアに十分な駐車スペースがない現状では、むしろ負担になっています。休憩できる場所がなくても、規則違反は許されません。車載装置によって速度やブレーキ操作まで監視され、休憩を取らなければ会社から罰則を受ける可能性もあるのです。

 

あなたの生活の便利さは、見えないところで誰かの長時間労働によって支えられているかもしれません。目に見えない場所で社会を支える人々の現実に、私たちはもっと目を向けるべきではないでしょうか？

 

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