日本と中国の外交関係が新たな局面を迎えています。高市首相による「台湾有事」に関する国会での発言を契機に、中国政府は2023年10月19日、わずか数週間前に部分的に再開したばかりの日本産水産物の受け入れを実質的に中止しました。

 

北海道の水産加工業者は落胆の声を上げています。冷凍ホタテを中国市場へ出荷していた紋別市の企業代表は「怒りというより諦めに近い感情だ」と心境を吐露。以前は中国向け輸出だけで約8億円の売上を記録していたといいます。愛媛県の業者も輸出再開に向けた申請中だっただけに、この急転直下の展開に戸惑いを隠せません。

 

中国側は公式見解として「高市首相の誤った発言は中国国民の反感を買った」と表明。さらに「日本側が水産物の安全性を証明する技術資料を提供していない」点も理由として挙げました。専門家は「習近平国家主席自身の強い不快感がトップダウンでの報復措置につながった」と分析しています。

 

福島第一原発の処理水海洋放出を受けて全面禁止となっていた日本産水産物の輸入は、今年6月に条件付きで一部再開が発表されたばかり。今回の措置で再び両国間の溝が深まることになりました。

 

この事態を受け、日本政府は慎重な姿勢を崩していません。農水相は「交渉に関わる事柄」として具体的コメントを避け、官房長官は「輸出の円滑化を働きかけるとともに、残る規制撤廃を強く求める」と従来の方針を繰り返すにとどまっています。

 

あなたも輸入食品を日常的に口にしているかもしれません。こうした国際関係の緊張が、私たちの食卓や国内産業にどのような影響をもたらすのでしょうか。政治的発言一つが貿易に波及する現代の国際情勢を、身近な問題として考えてみませんか。

 

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