さて前回の記事では、以下のトラックのホイール洗浄手順のうち、下洗い~汚れ落としまで解説させていただきました。今回は後編として、ホイール磨き~仕上げ工程について徹底解説しようと思います。

ホイール磨きといえば一般的にアルミホイールの磨きを差しますが、髭剃りができるほどピカピカの鏡面に仕上げたい方は、是非ご参考ください!

工程 項目 内容
1 下洗い 大まかに汚れを落とす下洗い。ママレモンやバケツ石鹸、カーシャンプーなどを使用。人によっては水で流すだけというパターンも。
2 汚れ落とし 酸系のクリーナーを使い、ホイールのサビや白ボケなどを除去。
3 磨き 磨き剤入の商品でホイールを研磨。細かい汚れを落とすと同時に、光沢を出します。
4 仕上げ 3までで完結するパターンがほとんどですが、より深い光沢を出すために仕上げ磨きをするパターンも。

ステップ3:磨き

上記の汚れ落とし工程までがしっかりと終わっている前提で、磨き工程について説明させていただきます。磨き剤でホイールを研磨し、細かい汚れを落とすと同時に光沢を出すという工程になります。

磨き工程で準備するもの・服装について

ポリッシャーを使うかどうかで、必要になる道具が変わってきます(以下の表をご覧ください)。可能であれば、袖にボタンやファスナーなどの金属がついている服は避け、アクセサリー等も外しておきます(作業の際にホイールを傷つけるおそれがあるため)。

A:手で磨く(電動またはエアー工具を使わない)の場合

名称 内容 必須かどうか
磨き剤 ピカピカに研磨する際の磨き剤です。 必須
クロスまたはそれに代わるもの 保護剤を適量とって磨き上げます。 必須
耐水ペーパー 傷取りや、さらに光沢を出すための磨き込みに使います。 任意

B:ポリッシャーを使う場合

名称 内容 必須かどうか
ポリッシャー本体 表面を電動で研磨する工具。サンダーでもOK。 必須
ポリッシャー用バフ ポリッシャーに取付けるバフ。 必須
磨き剤 工具を使う場合も、同じく必要です。 必須

磨きの手順

A:手動(電動工具を使わない)の場合

下洗い~汚れ落としまでの工程を終えたら、ホイールを綺麗なクロスで乾拭きします。 ホイールがよく乾いたら、クロスに磨き剤を適量取ってホイールを磨いていきます。クロスではなくスポンジや柔らかいブラシを使っても良いです。

適量をスポンジに取る

いずれにしても、ホイールに傷をつけないような柔らかい素材のものを使用します。 力を入れてゴシゴシする必要はありません。力を入れすぎると、反って傷がつく恐れがあります。床をササっと拭くぐらいの力加減にして、磨き剤を動かすようなイメージでこすります。

しっかりと磨くなら、狭い範囲を細かくこすり、徐々に移動しながら磨き上げます。逆に、待機中などの合間をみて時短で磨くなら、ホイールに磨き剤を20センチ刻み程度で直接チョチョチョっと付けて、少し広めの範囲で磨いたりもします(ムラが出ないように注意してください)。

ホイールナット周りは、特に念を入れて磨きたい場所です。ここが綺麗か否かで、評価が大きく分かれます。皆さま色々と工夫されていて、廃棄した発砲スチロールを使ったり、古いTシャツを使ったり、安物の軍手を着用したうえで指で直接磨いたりもします。

アルミ特有の白サビがしつこくホイールに付着している場合、根気よく研磨しないと落ちませんので、腰が痛くならないような工夫も要るかもしれません。 工夫次第で様々なものが使えますので、状況や好みに応じて是非いろいろと試してみてください!

B:ポリッシャー等の工具を使う場合

ポリッシャーやグラインダー、サンダー、電動ドリル等をお手持ちの場合は、磨き作業を楽に進めることができます。電動だけでなく、トラックのエアーで使えるエアサンダーもあり、それぞれ使いようによって大幅な時短になります。

ポリッシャー

それらの工具に取付け可能なバフを取付けたのち、バフまたはホイールに磨き剤を適量塗布して研磨を進めていきます。バフにも大きさや素材で色々な種類があります。バフのサイズが大きいと研磨面積が広くなりますが細かい作業がしにくくなります。サイズが小さいバフはその逆ですね。

バフの素材はウレタン(スポンジ)やウール等があります。ウレタンの場合は中目や細目といった形で目の粗さが記載されています。細目のほうが柔らかく研磨能力は低くなります。また、ウレタンよりもウールバフの方が研磨能力が高くなりますが、バフ初心者の場合は細目のスポンジバフで問題ないかと思います。

履かせているホイール形状や汚れ度合いによって、色々なバフを試してみると良いでしょう

バフ掛けの際はできるだけ低速で駆動させ、ホイールの研磨面と工具の研磨面が並行になるよう気を付けながら、またバフ以外の場所がホイールに当たらないよう気を付けながら工具を動かしていきます。

ポリッシャー・グラインダー・サンダーといった工具は、入り組んだ場所や細かい部分の研磨が苦手です。奥まった部分は特に工具が当てにくく、無理に工具を使って斜めに強くあててしまうと傷の原因にもなります。工具で全部やってしまおうとせずに、まずは工具で大まかな部分の研磨を行ったうえで、細かな部分は手作業で磨き込むようにしましょう。

傷が多いホイールの場合は、磨き剤を使う前に、耐水ペーパーで磨くべし

傷が多くてホイールが白くくすんでいる状態なら、耐水ペーパーの出番です。

ホイールに水をかけながら、耐水ペーパーでこすっていきます。 耐水ペーパーには番号(番手)があり、番手が小さいほうが目が粗く、大きいほうが目が細かくなります。

そのため、番手が小さいところから研磨をスタートして、徐々に番手を大きいものに変えて研磨していきます。ホイールの傷を取る段階では、800番から2000番あたりで研磨します。

なお、耐水ペーパーによる研磨の際は、研磨面が必ず濡れている状態にしておく必要があります。乾燥すると、こすっているうちに摩擦熱によってペーパーが熱くなるので気が付くと思いますが、霧吹き等を使って常に濡れている状態でこすりましょう。

工具を使ったバフ研磨で傷を取ることもできますが、手作業に比べて削りすぎになってしまいやすくなります。特にエッジ部分は要注意です。バフがけに慣れている方であれば良いのですが、そうでない方は手作業で耐水ペーパーを使って研磨するほうをお勧めします。

ステップ4:仕上げ

ステップ3の磨きを終えて、水洗い&乾拭きしてしまえば一連の作業は完結しますが、より深い光沢を出すためには、仕上げ磨きが必要になります。この工程で必要な心構えは、忍耐と追求がより深い光沢を産むということです。

ピカピカ鏡面にするためには、どれだけ追い込むかが重要

鏡のように光沢のあるホイールにするには、どれだけ丹念に磨き込むかにかかっています。耐水ペーパーなら2000番以上を使い、仕上げとして粒子の細かい磨き剤を使って拭きあげていきます。

丹念に磨き込むほど美しくなりますが、ここまでくると磨き剤のチョイスや拭きあげ方法など、人によって様々なやり方が出てきます。追い求める方は、色々と試行錯誤すると楽しいですよ。

磨き剤について

アルミホイールの磨き剤は色々な種類があり、好みが分かれるところです。 研磨剤(コンパウンド)入りとそうでないものがあり、コンパウンドの粒子が細かいほうがより仕上げに向いたものとなります。

一方で粒子が粗いタイプは研磨力は高いですが、仕上げには向きません。 粗め粒子のコンパウンドが含まれたタイプで磨き工程をしてから、粒子が細かいタイプで仕上げると良いでしょう。

液体タイプとクリームタイプがあります。クリームタイプは開封後時間が経つと硬くなったり、タイヤに付着すると色が残ったりしますが、持ちは液体よりもよくなります。

おすすめ磨き剤

これ一本で対応するなら、ジェットイノウエ(JET INOUE) クリスタルマジックリミテッド

どれか一つのみを選ぶのであれば、こちらの商品をお勧めします。後述のクリスタルメタルポリッシュほどコンパウンドは細かくありませんが、鏡面にも十分使用可能です。ふき取りもしやすく、他の商品にありがちな嫌な臭いもしません。ホイール磨きが楽しくなる商品です。

ホワイトダイヤモンド メタルポリッシュ

クリーナー(洗浄)、ポリッシャー(研磨・艶出し)、プロテクター(保護剤)が一つになった海外メーカー製の磨き剤です。トラックだけでなく、バイクの金属部分にも使われたりします。

伸びよし、艶もよし、という特徴があります。速乾性があり、ホイール表面を手軽に掃除するのに向きます。

鏡面仕上げの強い味方。ジェットイノウエ(JET INOUE) クリスタルメタルポリッシュ

超微粒子コンパウンド配合で、鏡面を実現するための最終仕上げの磨き剤として特におすすめできる商品です。1ミクロンに統一された大きさのコンパウンドを使用しているため、ムラのない仕上がりを実現します。

水を寄せ付けないコーティング効果があるので、艶と光沢にも期待できます。

ピカピカ鏡面磨きのためのまとめ

ガチでピカピカな鏡面磨きは、知識やテクニックはもちろん、何より根気が必要な作業です。でも、深い光沢の鏡面磨きは周囲からリスペクトされますし、作業が完了したときの達成感もひとしお。ある程度綺麗になれば良いという人も、コツや注意点をおさらいしておきましょう。

  • ポイント1:力を入れすぎないように磨く
  • ポイント2:工具は非常に便利だが、削りすぎに注意
  • ポイント3:傷が多いホイールの場合は耐水ペーパーで対応。
  • ポイント4:ピカピカ鏡面にするためには、どれだけ追い込むかが重要