国際秩序が大きく変わりつつある今日、特に注目すべきは海洋をめぐる力関係の再編だ。アメリカの内向き志向が強まる一方で、中国は南シナ海にとどまらず世界各地の海域で影響力拡大を図っている。

 

「各国の物資輸送を支える海上交通路の安全保障が、今後の国際経済の鍵を握るでしょう」と指摘するのは、グローバル企業で30年以上の経験を持つ専門家だ。

 

従来、世界の主要な海上交通路は米国海軍によって守られてきた。これは米国自身の貿易利益を守る目的もあったが、その恩恵は日本を含む多くの国々に及んでいた。

 

しかし状況は変わりつつある。「アメリカが自国第一主義を強めると、自国の利害に直結しない海域からは撤退する可能性が高まります。その空白を埋めようとするのが中国です」と専門家は警鐰を鳴らす。

 

実際に米国は最近、自国にとって重要なパナマ運河の管理権に強い関心を示している。これは主要航路の安全確保を最優先する姿勢の表れだろう。

 

こうした変化は私たちの暮らしにも直結する。日本は資源の大部分を海外に依存しており、海上交通路の安全が揺らげば、食料品から日用品まであらゆる物資の供給に影響が出かねない。

 

では私たちはどう備えるべきか？「まずは海洋安全保障の重要性を理解し、日本としての対応策を考える必要があります。国際協力を強化しながら、自国の防衛力も高める—そのバランスが問われています」と専門家は説く。

 

国際情勢の大きな転換点に立つ今、海をめぐる新たなパワーバランスが私たちの生活にどう影響するのか、考えてみる時期に来ているのではないだろうか。

 

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