「過去に災害を経験し復興を遂げた地を走ることで、今苦しんでいる故郷に光を届けたい」―。そう願いを胸に、阪神・淡路大震災から30周年を迎える神戸マラソン2025のコースを完走した人物がいる。能登半島地震で被災した珠洲市在住の70歳のランナーだ。

 

昨年1月1日、新年の走り初めをしていた彼は、突如として大地の揺れに襲われた。自宅まで7キロの距離を、隆起した道路を歩き、倒壊する建物を目の当たりにしながら帰宅。家族の無事を確認できたときは安堵で足に力が入らなかったという。

 

「フルマラソンを完走することで、私たちはまだ前に進めるというメッセージを伝えたかったんです」と語る彼。震災から約2か月後、走ることを再開。「ゼロからの再出発という決意表明でした」と振り返る。

 

あなたも街の復興を願いながら走ったことはあるだろうか？ 彼が神戸の街で最も印象に残ったのは、市民の結束力だった。「人々が手を取り合って前を向いてきたからこそ、今の神戸がある。私たちの町も必ず立ち直れる」

 

故郷を見渡せば、仮設住宅や補修中の道路が目につく。高齢化も進み、空き地となった被災跡地も少なくない。それでも彼は「走り続けることで故郷を応援したい」と清々しい表情で語る。

 

マラソン42.195キロを完走した彼の姿は、災害を乗り越え、希望をつなぐランナーの姿そのものだった。あなたも何かの形で、困難に立ち向かう人々を応援してみませんか？

 

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