私たちの生活を支える物流網に大きな変革が起きています。トラック運転手の年間残業時間が960時間に制限された規制施行から約1年半が過ぎました。この規制は、もし対応が不十分なら2030年度には物流の約3割以上に影響すると言われています。あなたが日常で目にする商品価格の上昇にも、この物流変革が関わっているかもしれません。

 

「価格が上がっていない商品を探す方が難しい」と語るのは出水市のスーパー経営者です。原材料費だけでなく、物流コストの高騰も価格上昇の一因とのこと。では、運送会社はこの状況にどう対応しているのでしょうか？

 

ある運送企業では、ドライバーの負担軽減のため全国に営業拠点を設立。長距離移動をフェリーに切り替えることで、労働時間を大幅に短縮しました。「以前は月に400時間近く働いていたドライバーも、今では法定内の272時間以下に収まっている」と社長は胸を張ります。また別の会社では、荷物の積み込み時間を短縮するため「パレット」という荷台を活用し、作業時間を3分の1に削減することに成功しました。

 

しかし課題も山積みです。フェリー輸送の需要急増による船舶不足、パレット規格の不統一、そして複雑な下請け構造など。特に2025年4月からは、多重下請けを2次以内に抑える努力義務が施行されます。「実際は5次、6次と重なり、自分が何次請けか把握していない業者もある」と業界団体の会長は懸念を示します。

 

さらに2030年には月間残業時間が40時間に制限される可能性も。これからの物流を維持するには、業界の革新と社会全体の理解が不可欠です。あなたが買い物をする際、その商品がどのように届けられたのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

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