東京都内のビルの陰で、中年男性（45）が画面に向かって必死に求人情報をスクロールしている姿が目に入る。コールセンターの派遣スタッフとして得る月収25万円では生活が厳しく、週末も短期バイトで埋め尽くされている。

 

「家庭を持つなんて、もう考えられない」と彼は漏らす。高校卒業後、安定した職に恵まれず、20職種以上を渡り歩いてきた経験を持つ。自由な働き方に一定の魅力を感じながらも、明日への不安は常につきまとう。

 

あなたは自分の将来について、どれくらい余裕を持って計画できているだろうか？総務省の2024年データによれば、国内労働者の37％（2126万人）が非正規雇用だ。この現実は、人生設計にも深刻な影響を及ぼしている。30代前半男性の婚姻率は、正規雇用者が56％なのに対し、非正規ではわずか20％。年収300万円未満の同年代男性の既婚率は4割未満だが、500万円超では7割を超える。

 

女性を取り巻く状況も楽観できない。働く女性の比率は40年前と比べて大幅に増加したものの、OECD調査では日本の男女間賃金格差が37カ国中下位3位という結果が出ている。「同一労働同一賃金」の原則が浸透していない日本では、雇用形態による格差が年々拡大する傾向にある。

 

欧州では職務に応じた公平な賃金体系が一般的だが、日本の雇用システムは依然として正規・非正規の壁が高い。この社会構造が、多くの人々の人生選択を制限していることに気づいているだろうか。私たちの社会で、経済的安定と個人の幸福がどう両立できるのか、真剣に考えるべき時が来ている。

 

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