2024年問題スタート後の中小運送業の現状と行政処分強化の動きについて
- この記事の要約
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2024年問題スタート後の中小運送業の現状と行政処分強化の動きについて
2024年4月から、運送業で働くドライバーの労働時間を厳しく管理する新しい法律が始まりました。これにより、中小運送業者は新しいルールに対応する必要があります。
労働時間の上限を超えないようにするために、会社は1日の運転時間や休息時間をしっかり管理する必要があります。しかし、法律が施行されて5か月が経った今でも、全ての運送会社がこのルールを守れているわけではありません。特に、長距離輸送を行う中小企業では、多くの会社が新しい基準を守るのに苦労しています。
また、国土交通省は、来年1月からこの新しい基準に違反した場合の罰則を強化することを発表しました。これにより、違反が多い会社は厳しい処分を受ける可能性があります。
この処分強化により、運送会社は早急に運行計画を見直し、ルールを守るための対策を進める必要があります。
「物流の2024年問題」の契機となる法改正(労働基準法改正による自動車運転者に対する時間外労働上限規制の開始と改善基準告示の改正による乗務時間等の厳格化)が予定どおり2024年4月1日に施行されました。現在、改正法施行から5カ月を経過しています。今回は中小運送業の現場における2024年問題スタート後の状況についてとりあげてみます。
労働基準法による「時間外労働の上限規制」については、運送業の場合、年間960時間以内という年間の規制であり、適用開始日から1年間が経過しないと違反の有無が判明しません。(もちろん36協定違反については従来通り一日、一か月等の限度時間があります)
本来であれば月間平均80時間以内に抑えないと年間960時間に収まらないので、1日や1ヵ月の時間外労働を厳格に管理する必要があるのですが、法改正に伴う本格的な行政監査が始まるのは改正法施行から1年経過後と見込まれますので、現在、表面的には特段の混乱は見られません。ただし1年経過後に労基法違反の運送会社が次々に摘発され、送検や行政処分を科される事態になると、相当混乱が生じるものと予想されます。
一方、改善基準告示の改正に関しては、一日の拘束時間や休息期間、及び一か月の総拘束時間、運転時間、連続運転時間など、既に運行の記録が残されており、新基準の適用開始日以降の運行実態が明白なので、1年を経過せずとも違反の状態がはっきりと認識できます。仮に運送会社に行政監査等が明日入ったとしても、即行政処分を科される可能性があり、運送業の現場では乗務時間等の管理について特に神経を使っています。
現状では地場主体の事業者では約7~8割が改善基準告示を遵守した運行を行っており、2~3割の事業者で未だに遵守できない運行が見られる状況です。一方、長距離輸送の事業者では約3~4割程度が基準値以内に収まる運行を行っており、残りの6~7割程度の事業者で未だ遵守できていない運行が残る状況です。遵守に苦労している基準は主に一日の最大拘束時間と休息期間、及び総拘束時間(月)、2日平均の運転時間、等です。
主に中堅以上の大規模事業者は比較的法令遵守の取組が進んでおり、現場の管理者や運転者にも法令遵守が徹底されていますが、中小零細企業の場合は比較的法令遵守に向けた取組が遅れている実態が見られます。もちろん会社の事業内容や経営者の意識の違いにより、千差万別であり、一概には言えないのですが、中小零細企業の取組促進が喫緊の課題だと思います。
また輸送品目による違いもはっきりと見られます。特に食品、農産物、水産物、飲料、建設資材、鋼材等の輸送で改善基準の遵守に苦労している実態が見られます。改善基準告示を遵守するためには、運送会社単体での努力では限界があり、発着荷主や元請事業者の理解と協力が必要ですので、今後の協力体制進展が望まれます。
新改善基準告示の遵守状況は概ね前述した通りですが、それに対し、国土交通省では先日、来年1月から改善基準告示違反に対する行政処分を強化する改正案を発表しました。現在は改善基準告示未遵守6件以上の場合に初違反で車両停処分10日車、未遵守16件以上の場合に車両停止処分20日車となっていますが、来年1月以降は未遵守6件以上の場合、未遵守1件当たり2日車の加算方式に変わる見込みです。
つまり仮に未遵守が18件あった場合、18×2=36日車の処分となり、現行(20日車)より大幅に強化される予定です。改善基準告示未遵守の運行がある運送会社は早期に運行計画を改善する必要があります。
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