トラックのエンジンオイル量を点検しよう。継ぎ足しについても解説
長く安全にトラックを運転するには、定期的なメンテナンスが欠かせません。とくにエンジンオイルはトラックの心臓部であるエンジンを守る大切な役割をはたしています。
そこで今回はトラックのメンテナンス方法として、エンジンオイル量の点検方法について解説します。あわせてエンジンオイルが減ってしまう原因や基本的な役割についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
著者紹介
ジェットイノウエをはじめとするトラック用品・トラックパーツを取り扱うオンラインショップ「トララボ」の商品担当です。トラック用のエンジンオイルをはじめ、トラックドライバーの皆さまを応援する様々な商品を紹介しています。
トララボを見てみるトラックのエンジンオイル量はオイルレベルゲージで確認する
トラックのエンジンオイル量を点検する際は、オイルレベルゲージを使って確認をおこないます。 オイルレベルゲージはタンク内のオイル量を測定するためのスティック状のゲージで、トラックのエンジンオイルの量を目視で確認できます。
オイルレベルゲージの点検方法
具体的な点検方法は次の通りです。
1.トラックを平坦な場所に停車させる
2.キャビンを傾ける(怪我に注意!)
3.エンジンルーム内からオイルレベルゲージを引き抜く
4.タオルやキッチンペーパーなどで一度拭き取り、再度奥までしっかり差し込む
5.もう一度オイルレベルゲージを引き抜き、エンジンオイルの量を確認する
オイルレベルゲージには2つの印がついています。それぞれの印が上限と下限を意味し、この2つの印の間にオイルが収まっていれば適正量となります。上限以上であれば多すぎる状態、下限以下であれば少なすぎる状態のため、状況に応じて適正量に合わせてください。
エンジンオイルが多すぎる場合は、エンジンオイルを適正量になるように抜いてあげます。専門業者に依頼すると間違いないですが、知識や環境、工具が揃っていれば自分で作業することも可能です。
注意したいのが、エンジンオイルが少なすぎる場合です。「少ない分を継ぎ足しすればいいのでは」と考えてしまいがちですが、継ぎ足しはオイルが空気に触れ、熱が加わることで急速に劣化が進みます。
エンジンにとって良くない環境が生まれれば、必然的に故障のリスクも高まるでしょう。エンジンオイルが少なすぎる場合は、全量をオイル交換するようにしてください。
エンジンオイルが減ってしまう原因は?
そもそも、エンジンオイルはなぜ減ってしまうのでしょうか?原因は大きく次の3つです。
【自然減少】 気密性が維持されたエンジン内部ですが、長期間使用するにつれて部品が摩耗し、隙間からエンジンオイルが少しずつ漏れ出してしまいます。またエンジンブレーキを使う際に燃料室内の負圧が上昇し、エンジンオイルが吸引されることも自然減少の原因です。
【オイル上がり】 ピストンリングの摩耗により発生するのが「オイル上がり」です。摩耗によりエンジン内部の気密性が維持できなくなり、エンジンオイルが燃焼室に入ってしまうトラブルを引き起こします。 オイル上がりの状態になると車のマフラーから白い煙が発生したり、エンジンオイルの減りが早くなったりといった症状を引き起こします。
また警告灯が点灯する場合もあるため、異常を感じたら早めに点検を行ってください。 エンジンオイルの劣化が進んでいるとピストンリングの摩耗が進むため、定期的なオイル交換をおすすめします。
【オイル下がり】 吸排気バルブからエンジンオイルが漏れ出て、燃料室に入り込むのが「オイル下がり」です。トラックには吸排気バルブからエンジンオイルが侵入しないよう、ステムシールという部品で区切られています。
しかし、この部分が経年劣化するとエンジンオイルが侵入し、オイル下がりを引き起こします。 エンジン始動時のマフラーからの白煙や、エンジンオイルの減少が早まるといった事象が、オイル下がりの症状です。こちらもエンジンオイルの経年劣化によるリスクが高まるため、定期的なオイル交換をおこなってください。
トラックのエンジンオイルの交換目安と交換方法
最後に、トラックのオイル交換の目安や、交換の方法について見ていきましょう。トラックオイル交換は走行距離と期間を目安にする
トラックのエンジンオイルの交換は走行距離によって目安が決まっています。それぞれ車体の大きさ別に、以下が目安となります。
・小型トラック(2tトラック)…走行距離10,000~20,000km
・中型トラック(4tトラック)…走行距離15,000~30,000km
・大型トラック(10tトラック)…走行距離20,000~40,000km
もちろんトラックの運転環境や運転頻度によって交換時期は前後しますが、オイル交換を検討する目安として覚えておいてください。 また走行距離が目安に達していなくても、1年ごとにオイル交換をしておくとオイルの劣化を防げます。トラックは1年に1回の車検が義務付けられているため、そのタイミングでオイル交換するのがおすすめです。
オイル交換
オイル交換は整備工場で実施できますが、車体構造への知識や工具が揃っていれば自分でも交換できます。
1.オイルパンとドレンボルトの位置を確認する
2.エンジンオイル投入口の蓋を開ける
3.ドレンボルトを緩めて外す
4.ドレンボルトの取り付け(ドレンワッシャーを交換する)
5.新しいエンジンオイルを投入する
6.最終確認をおこなう
まずはトラックの重量に見合った油圧ジャッキを使って、車体を持ち上げます。怪我や事故が起こらないよう安全には十分配慮してください。車体を持ち上げたら、オイルパンとドレンボルトの位置を確認します。 次にエンジンオイル投入口の蓋を開けておきます。こうすることで空気が入り、オイルが抜けやすくなります。 トラックの下に潜り、ドレンボルトを緩めて外します。エンジンオイルが勢いよく流れ落ちてくるため、あらかじめ廃油をいれるトレーを用意しておいてください。
オイルの量はトラックのサイズによって違います。目安よりやや大きめのトレーを用意しておくと安心です。
トラックのエンジンオイル量の目安は次の通りです。
・2tトラック 8~10L
・4tトラック 12~15L
・10tトラック 28~38L
エンジンオイルを完全に抜ききったら、ドレンボルトを取り付けます。このとき、ドレンワッシャー(パッキン)は新品に交換しておきましょう。ドレンワッシャーは締め付け時に潰れることで隙間をなくしてくれるパーツです。
無理な力で締付けると破損してしまうため、 適度な力加減で締付けを行いましょう。 次にエンジンオイルを入れていきます。あらかじめ既定の量を確認し、入れすぎないように慎重に投入していきます。エンジンオイルゲージで小まめに量を確認しておくのがポイントです。
適正量を投入できたら、最後にエンジンオイルキャップの閉め付け状態とエンジンオイルゲージを再度確認します。エンジンオイルゲージの確認は、エンジンを始動させて30秒ほど回したら止め、1分程度待ってから確認します。エンジンオイルがきちんとエンジン内にいきわたり、適正量になっているか確認するためです。
オイルパンやドレンボルト周辺にオイル漏れがないかを確認すれば完了です。
まとめ
今回はトラックのエンジンオイル量の点検方法について解説しました。エンジンオイル量を点検するには、オイルレベルゲージを用います。適正量の収まっていれば問題ありませんが、多すぎる・少なすぎるといった場合は適正量になるようにきちんと対処してください。
またトラックのエンジンオイルは劣化が進むとエンジンの故障やトラブルを引き起こします。日頃から走行距離や交換時期を確認して、定期的に新品オイルに交換しておきましょう。
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